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必見コラム「企業が生きる知恵」


  サステナブル

投稿日 2018/07/04

小遣いに替えたい!メルカリ人気が意味するSNSとシェアーが生み出す持続可能なビジネスとは?!

~リサイクルビジネスはコミュニティの醸成が不可欠!!

メルカリが人気です。
メルカリしかない価値とは、つまり一言でいうと、手軽に節約できて小遣いを稼ぎ、お得に買い物ができることです、

一例を挙げるなら買い手が高級ブランド品を安く買いたいと思えば、コメント欄に「○○○○円になりませんか?」という値引き交渉を気兼ねなく普通にできる、売買プロセスによるハードルの低さです。

なぜならメルカリとは、フリマアプリ企業でもあり、リサイクル企業でもあるのですが、実は、今や月間1000万人が利用するまでの社会現象になった不用品の売買を通じて交流するSNS企業だからです。

メルカリが支持される理由は、買い手と売り手双方が売買プロセスを通して交流することで、垣根を失くし、仲間同士で売買している感覚を持つ仕組みにあるのです。

~メルカリはSNS企業だから、競合企業と一線を画せた!!~
メルカリの特徴は、買い手にはお得感(冒頭で解説)で、売り手には納得感を提供し、売り手と買い手双方が匿名を守りつつも、且つ交流する仕組みにより、買い手と売り手双方が垣根を失くし、そこに売買プロセスにフォロー機能を付加することで、コミュニティーが生まれる楽しさを生み出したところにあります。

ではメルカリが提供する売り手の納得感とは、どのようなものでしょうか?
日本で不用品を売るには、リサイクルショップやヤフオクやアマゾンマーケットプレースしかなく、これまでは売り手が不用品なので売れないのではという不安を抱き、常に買い手が優位に立ってしまう、買い手の言い値でしか売れない、買い手を絞ることにネガティブになる、そして買い手の素性など知ることができないという、売り手側の思い込みや不満がありました。

メルカリは不用品の売買にある売り手の思い込みや不満をデメリットととらえ以下の売買プロセスを仕組み化し解決しました。

・売り手の個人情報は匿名で開示されない(匿名で在れば買い手にコメントしやすい)

・売り手が買い手の条件を指定できる(買い手のコメントがなければ販売しないなど)

・売り手が買い手からの値段交渉を受けることで買い手の価格以外の要望を知ることができる
メルカリは、このように不用品売買では常に不安や不安を持っていた売り手の心理的要素に焦点を当て、解決することで、売り手と買い手がSNS的な感覚でつながる環境を作り上げたのです。

~メルカリは不用品を売買することで、売り手と買い手がシェアーする価値を生み出した!~     
メルカリは誰かには価値があるのに捨てられてしまう地球資源の無駄をなくすために、リサイクル企業であるというイメージを消費者へ訴えず、不用品を売買することでシェアーできる取引の場を提供する企業であろうとしています。

買い手がお得にできれば安く買いたいと思えば価格交渉のコメントを書ける、そうなれば売り手が要らなくなった不用品でも多くの買い手がつき、最終的に要らなくなったモノが再利用されます。そしてこの時の買い手が買ったモノを売る売り手になれば、同じモノがシェアー(共有すること)される流れにつながり、世の中をよくするのです。

メルカリがスマホに特化して、手軽に操作できる仕組みを追及するのは、多くの人が常に携帯するスマホを見ていれば、誰かに必要とされず不用品となった商品が次々とアップロードされ、お得感を得たい多くの買い手はその品揃えに刺激され、SNSで友達と会話するように、いいね!を押し、そこから値段交渉も始まり、同じモノの売り買いが頻繁に起こる可能性が大きいからです。

メルカリが描くシェアーのビジネスとは、コミュニティーの仲間同士で互いの信頼を築き、売り手と買い手がワイワイと楽しくモノを売買するコミュニティーそのものを指すのです。

~メルカリがなぜポートランドにオフィスを構えたのか?~
メルカリは日本の成功を軸に、先の上場で得た約600億円の資金を武器にして、2015年から取り組んでいるアメリカ市場進出を進化させるべく数十億円の投資をつぎ込んでいます。

同社のミッションでもある<地球資源の無駄を捨てるをなくすことで、世界的なマーケットプレイスを創る>を実現すべく会長の山田氏自身が陣頭指揮にあたっているのですが、その場所は日々スタートアップの話題が飛び交うサンフランシスコと、もう一つが市を挙げて捨てることを止めサステナブル(持続可能)な街を作り上げたオレゴン州ポートランドでした。

アメリカでメルカリが不用品を売買するフリマアプリ企業として展開することは、フリマとして人気のフェイスブックや同社にリンクするオファーアップや、フリマアプリであるアマゾン、イーベイ、募集や求人なども含めた広告サイトであるクレイグリストと競合することを意味し、正確に短期間で届く宅配サービスが整備されていないアメリカでのシェアー争いへの参入は、日本のメルカリにとって、売りである手軽な便利さを提供することで他社と差異化する戦術では困難な様相です。

メルカリが単に不用品を売買するフリマアプリの日本企業で終わるか?それとも、シェア―と言う価値が常識になりつつあるアメリカで、日本で構築したお得感を入口に、SNS的要素で新たなシェアーの価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創り、サステナブルな世界をアメリカ発でつくれるのか?その真価が問われています。

もしアメリカという地で日本発のユニコーン企業であったメルカリが、フリマアプリの後発組でありながら日本の消費者に支持されたノウハウを駆使し、スマホを手軽に使うことで、シェアーからつながるサステナブルなライフスタイルを発信し、ポートランドで住民の支持を獲得できたなら、メルカリがサステナブルな世界を提供している企業であるブランドを全米で確立できるのは間違いないのです。





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