「H&Mに対抗する術を探る!」
~ビジネスモデルで見れば答えが見えてくる
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「H&M銀座店」はオープン後も週末はお客さんで混雑していますがこの企業、一体どんなビジネスモデルを構築しているのでしょうか?
今回はこのビジネスモデルという点に迫りながら、同社に対抗する術を少し探ってみたいと思います。
題して、「H&Mに対抗する術を探る!」・・オンリーワンビジネスモデルマニュアルからです。お楽しみに!
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フリーペーパーのR25は「H&M」と既存SPA(製造小売業)との違いを、こう語っています。
「手頃な価格で品質の良い衣料を提供する業態のアパレルブランドは、
ユニクロやGAPが代表的だろう。
H&Mもその基本ラインは変わらないが、ビジネスモデルに違いがあるようだ。」
H&Mの強さは、誰もが知っているように
・ アイテムの種類が多く
・ 小ロットで
・ 短期間に売り切る ことです。
しかし私はH&Mが強い本当の理由は、これら3つを実践できることではなく、
実践することで売場を訪れた来店客が「混雑感」を感じるように演出していることだと思っています。(この演出法の一部は前号でお話しています)
お客さんがある商品を買うために、特定のお店を訪れる理由は、3つあります。
・ 時間を節約できるか?
・ 知り合いがいるか?
・ 楽しさを感じるか?
顧客に時間を節約できると感じてもらうためには、商品構成を考えれば可能になります。
顧客にそこには知り合いがいると感じてもらうためには、販売員が顧客とコミュニケーションを密にすれば可能になります。
顧客に楽しさを感じてもらうためには、あるサインを品揃えや価格以外で顧客に送ることができれば可能になります。
H&Mは品揃えや価格以外で、売場を訪れた顧客にあるサインを送ることで、最後に挙げた”楽しさ”を演出することに成功しています。
もしあなたがH&Mと競合状況になったとしたらどうするでしょうか?
競合対策を練るためには、必ず相手のビジネスモデルを読み、それに対抗する方法を考えなければなりません。
「いや、そんなことはない。店を見に行って、
価格と品揃えをチェックし、それで勝負すれば対抗できる。」と、
あなたがもし思っていたとしたらこれは相当危険です。
なぜなら、価格と品揃え勝負だと絶対に相手は価格と品揃えで、巻き返してくるため、どちらかがやめるまで、不毛な価格競争が続いてしまうのです。
競合対策を考えるためには競合企業のビジネスモデルを読み、次のようなステップを踏む必要があります。
では一度H&Mを競合企業に見立て、ビジネスモデルを紐解きながら対抗策を考えてみましょう。
ステップ1・売り筋と見せ筋を読み取る
H&Mの売り筋=利益を生み出す商品は、シーズンごとにデザインを変えるベーシックな商品
H&Mの見せ筋=ハイファッションといわれる小ロット、短期間で売り切る商品
ステップ2・なぜ、顧客は競合企業で売り筋を買うのか?その理由を考える
H&Mは、見せ筋で顧客に”あるサイン”を送り、売り筋を買いたくなるようにしている
ステップ3.あるサインとは?
H&Mが送り続けているサインとは、顧客が「楽しい」と感じさせる「流行」というキーワード
ステップ4.そのために何を演出しているか?
流行=人が集まる=混雑
店舗レイアウトや什器の配置、キーアイテムの商品陳列位置で混雑感を作り上げている
ステップ5、競合企業の成功エッセンスを調べる
ステップ4まで読みきったとしたら、あとはお店を見に行って、細かな陳列、什器配置、商品テイスト、棚割りを調べる。
ステップ6、あなたが顧客に感じさせるものを、次の3つの内から決める
・ 時間を節約できるか?
・ 知り合いがいるか?
・ 楽しさを感じるか?
ステップ7、競合対策を考える
H&Mとバッティングしない付加価値「時間」と「知り合い」を選択するならば、それに沿った形でH&Mの売場を少し変えた店舗作りにする
H&Mと同じ付加価値「楽しさ」を選択するならば、「流行」以外のキーワードでH&Mを少し変えた店舗作りにする
価格と品揃え以外を見抜くことは、ビジネスモデルを見抜くことと同じことです。
それができれば競合企業の成功モデルをそのまま導入し、競合企業に対抗できる、あなただけのオンリーワンビジネスモデルが構築できます。
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